河豚は、その昔、「ふくとう」「ふぐとう」「ふぐと」などと読まれていたという。江戸時代の句に「ふぐと」があってもおかしくないが、「ふぐ」の用法も少なくない。
ふぐ食ってそののち雪の降りにけり 鬼貫
ふぐの面(つら)世上の人をにらむかな 蕪村
手を切りていよいよ憎しふぐのつら 其角
江戸時代でも、フグの一般的な呼び方は「ふぐ」だったように思われる。五・七・五に収まりがいいように古語を用いたのかも知れない。牡丹(ぼうたん)、夕立(ゆだち)、雛(ひいな)など同様な例がある。明治時代に限らず現代でも「ふぐと汁」を使う俳句がある。「ふぐと」は俳句用語とみなしたい。