これから霙(みぞれ)にも、雪にも、いつもいいものは湯豆腐だ。 昔からものの本にも、人の口にも、音に響いたものである。が、この味は中年からでないと分からない。※鏡花晩年の随筆から。誇張と飛躍に満ちた鏡花の作品は、自然主義が全盛になった明治末期から否定され出した。しかし、その時期以降の戯曲、小品、随筆などにも見るべきものが多い。