唐茄子とはカボチャの事。遊蕩の挙げ句、勘当された大店(だな)の息子、徳三郎。「お天道様と米の飯はどこに行ってもついてまわらぁ。」と言って家をとびだしたのはいいが、たちまち音をあげる。吾妻橋から身を投げようとするところを、偶然通りかかった伯父さんに助けられる。伯父さんは徳の性根をたたき直そうと、天秤をかついでかぼちゃ売りをさせる。
力仕事をしたことない大店の息子だけに炎天下、重い荷物に腰をふらつかせながらしぶしぶ商いに出る。親切な人たちにいくつか買ってもらった後、吉原田んぼへ。廓を遠望しながら口三味線で遊里へ通っていた甘い日々を回想する。「おまえさん、寄せなべはいいねぇ、いろんなものが入っていて、今日は私がおごるよ。」しなだれかかる遊女のそんなセリフが昨日の事のように思い出せれる。そしてふと、われに返り・・・
「え、唐茄子屋でござい~」。 寄せなべと遊女によって現実との落差が際立つ名場面だ。